| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(口頭発表) D02-08  (Oral presentation)

生産的な環境におけるギルド内捕食系の存続 II:転換効率に注目して 【B】
Persistence of intraguild predation in a productive environment II: Focusing on conversion efficiency 【B】

*Toshiyuki NAMBA(Osaka Prefecture University)

ギルド内捕食とは,共通の資源を利用する消費者の集まり(ギルド)において,ある消費者が別の消費者を捕食することである。食う側の消費者はギルド内捕食者,食われる側の消費者はギルド内被食者とよばれる。古典的な数理モデルは基底資源の生産性が高い時にギルド内被食者が排除されることを予測するが,この予測に反し,実証研究では,生産性の高い環境におけるギルド内捕食は普遍的である。この相違は長い間生態学者を悩ませてきた。生産性の高い環境でもギルド内捕食が普遍的であることを説明する仮設がいくつか提案されているが,有力なものの一つに,基底資源がギルド内捕食者にとって十分好適ではなく,それのみに頼ってギルド内捕食者が存続することができないからであるという仮説がある。基底資源のみに頼って存続することができなければ,ギルド内捕食者の存続にはギルド内被食者の存在が必要であり,ギルド内捕食者はギルド内被食者を絶滅に追いやることができない。捕食者の機能の反応がII型である場合には,好適度(profitability)は,食った餌を繁殖に振り向ける転換効率と餌1個体を処理するのに要する処理時間の比で測られる。上記の仮説によれば,捕食者にとって基底資源の好適度が低い場合には高生産性環境でもギルド内被食者は絶滅しないことになる。2種類の餌を利用するギルド内捕食者にとっての餌の好適度は,基底資源もギルド内被食者も高い場合,基底資源の好適度は低いがギルド内被食者の好適度は高い場合,基底資源の好適度は高いがギルド内被食者の好適度は低い場合,基底資源もギルド内被食者も好適度が低い場合,の4通りがあるが,これまでにこのすべての場合に系の動態を明らかにした研究はない。昨年は,餌の処理時間を変えることによって好適度を変え系の動態を調べたが,今年は,転換効率を変えることによって好適度を変え,ギルド内捕食系の存続を明らかにする。


日本生態学会