| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(口頭発表) E01-12  (Oral presentation)

日本の海洋・沿岸生態系の利用、将来シナリオの検討
Use of Marine and Coastal Ecosystem in Japan, Consideration of Future Scenarios

*山北剛久(海洋研究開発機構), 堀正和(水産研究教育セ), 石川洋一(海洋研究開発機構), 仲岡雅裕(北海道大学), 山野博哉(国立環境研究所), 牧野光琢(東京大学), 名波敦(水産研究教育セ), 白山義久(海洋研究開発機構)
*Takehisa YAMAKITA(JAMSTEC), Masakazu HORI(FRA), Yoichi ISHIKAWA(JAMSTEC), Masahiro NAKAOKA(Hokkaido Univ), Hiroya YAMANO(NIES), Mitsutaku MAKINO(U Tokyo), Atushi NANAMI(FRA), Yoshihisa SHIRAYAMA(JAMSTEC)

要旨生物多様性と生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)における海洋生態系サービス(MES)や自然の人々への貢献(NCP)の評価に貢献するためには、MES の全国的な空間的評価が必要である。そこで、日本全国の自然資本と主要なMESの地図化と空間的な関係性の評価を試みた。
各サービスのうち供給サービスとして、沿岸の自然資本と関係の深い温帯の魚種の漁獲統計を用いた。調整サービスについては、藻場面積と各分類群の地域別の原単位による炭素固定量を用いた。文化的サービスについては、潮干狩りや海水浴利用者数及び、春先の携帯電話人口データを用いた沿岸利用者数を利用した。これらについて将来の水温データをダウンスケールしたデータを含め、都道府県、海区などの解像度の異なる範囲で相関関係を調べた。
その結果、日本の温帯の南西部で供給サービス(沿岸魚種の漁獲量)が高い地域が見られた。調整サービス(CO2吸収)については、九州の北西部や伊勢湾、東京湾などの値が高い小規模な地域が見られ、一部の都道府県では供給サービスと調整サービスの相関関係が見られた。 また文化的サービスについても小規模な地域で値が高い点が見られた。これらの分布や関係性を都道府県別で示すとその地域差が大きいことから、気候変動や社会経済シナリオの影響による将来の生態系サービスの評価や対応する政策の検討を行う際には、地域の特性を考慮することが重要である。


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