| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨 ESJ68 Abstract |
一般講演(口頭発表) E02-07 (Oral presentation)
連続した生息地が人為改変等によって小規模で孤立した生息地へ縮小する現象は「生息地の分断」と呼ばれ、分断された生息地は、生息に不適なマトリクスに囲まれたパッチ状の存在となる。ただし、マトリクスは一様ではなく、モザイク状に様々な要素を含むことが多い。生息地パッチの面積の縮小は一般的に種多様性に負の影響を及ぼすが、移動力の高い種群は、周辺のマトリクスに含まれる、より小規模な生息可能パッチによって負の影響が緩和される可能性がある。そこで本研究は、東京都の西南部の都市公園において、徘徊性オサムシ・ゴミムシと飛翔能力を有するカメムシという移動能力が異なる2種群の種多様性と生息地パッチの面積、周囲のマトリクスの質との関係を検討した。その結果、移動力の高いカメムシ類は、生息地パッチ外のマトリクスを生息地として利用できること、対して移動力が低いオサムシは、生息地パッチそのもの、特にその質が重要であることが示された。この結果は、都市に散在する小規模な緑地が地域の生物多様性に貢献していることを示唆するものである。