| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-014  (Poster presentation)

検出率を考慮した自動撮影カメラによる地上性動物の群れサイズ推定
Accounting for detection probability to estimate the group size of ground-dwelling animals by using camera traps

*矢島豪太, 中島啓裕(日大・生物資源)
*Gota YAJIMA, Yoshihiro NAKASHIMA(Nihon Univ.)

集団サイズ(単位集団内の個体数)の推定は,社会性動物の行動・社会生態学において重要なパラメータの一つである。しかし,従来の調査手法や解析手法では、野生哺乳類の集団サイズを推定することは容易なことではない。そこで本研究では、自動撮影カメラの利用を想定した集団サイズ推定モデルを提案する。自動撮影カメラは,直接観察することが困難な地上性野生動物を効率的に検出できる反面、画角内に収まった個体のみを観測できないという問題を抱えている(すなわち検出率が1にならない)。また、集団内の個体の検出が互いに独立ではないという制約もある。さらに、従来の航空センサスとは異なり,自動撮影カメラでは群れの識別が困難な複数の異なる集団を検出してしまうという困難もある。そこで本発表では,これらの点を考慮した集団サイズ推定モデルを構築した.モデルの構築には,個体数推定に広く用いられているN-mixtureモデルの枠組みを用いた.独立ではない検出を考慮するために,カメラで撮影される一度の訪問を一定時間毎に切り出し、撮影された個体の観測回数を多変量ポーヤ分布に従うと仮定した.さらに,ある一つのカメラで検出される複数の集団のサイズとその訪問頻度が多項分布に従うと仮定し,個体群における平均集団サイズを推定することを試みた.発表では,モデルの詳細な説明とシミュレーション結果の報告を行い、野外での適用可能性について議論したい。


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