| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨 ESJ68 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-036 (Poster presentation)
三宅島2000年噴火から20年後における土壌動物群集とその8年間の変化
青山友輝(筑波大・生命環境),上條隆志(筑波大・生命環境),吉田智弘(東京農工大・農),金子信博(福島大・農),菅原優(筑波大・生命環境)
土壌動物は、植物リターや微生物とともに土壌分解系を成立させており、生態系機能の維持と発達に大きな影響を与える。また、破壊された生態系の回復過程における土壌動物、植物、土壌間の相互作用系の重要性も指摘されている。伊豆諸島の三宅島は、2000年7月に大規模に噴火し、島全体がモザイク状の攪乱を受けた。火山灰や二酸化硫黄中心の火山ガスにより、島の生態系は大きな影響を受けた。研究対象とする土壌動物群集に対しても強い影響があったと考えられる。本研究では、2012年に三宅島で得られた土壌動物のデータとの比較によって土壌動物群集の直接的な時間変化を検討し、火山噴火における土壌動物群集の回復過程を明らかにすることを目的とする。
三宅島内の裸地から未被害の森林を含む11地点の調査地点について、2012年と2020年に植生調査と土壌動物調査を行った。土壌動物の採集に関しては、ツルグレン法を用いた中型土壌動物の抽出及び個体数と分類群のカウント、ハンドソーティング法によるミミズの採集及び個体数の観測を行った。
地点ごとの植被率は上昇傾向にあり、2012年時点で裸地であった地点はハチジョウススキ草原となっていた。中型土壌動物について、個体数は減少傾向であるものの、裸地から草原となった地点のみ増加していた。分類群数も同様な地点で上昇していた。2012年に比べ2020年で中型土壌動物群集の構成は類似する傾向にあった。ミミズは2012年と異なり、全地点で確認でき、被害が大きな地点程増加が顕著であった。また、ミミズの個体数の増加に伴って、中型土壌動物の個体数が減少する特徴が見られた。