| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨 ESJ68 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-039 (Poster presentation)
近年,腸内細菌叢が様々な疾患の発症に関連している可能性が指摘されている。また,近年のシーケンサなどの発達やビッグデータの蓄積に伴い,より大規模で詳細なデータが取得可能となっている背景もあり,腸内細菌叢をはじめとする大規模群集に関する研究は広がりを見せている。このような大規模群集についての理解を深めるためには,その群集中の個体群間の相互作用ネットワークを同定することが重要である。特に,腸内細菌叢の相互作用ネットワークを同定することができると,多様性が低下し疾患になりやすくなるdysbiosisという状態を回避する方法について検討できる。この考え方は,腸内細菌叢のみならず,様々な大規模群集に適用できるものであると考える。
従来,相互作用ネットワークの推定には相関ベースの方法などが提案されていたが,近年,マウスなどの腸内細菌叢時系列データに対応するgenerarized Lotla-Volterra Equation(gLVE)のパラメータ推定を用いた手法について,様々な手法が検討されている[Marino et al.(2014), Bucci et al.(2016), Hosoda et al.(2021)]。これらで提案されている手法は,従来からよく知られている最小二乗法を用いたものから,近年拡大を見せているベイズ推定などの手法を用いたものまで様々である。我々は,以前より様々な分野で活用・発展してきている最小二乗法を用いた手法をベースに,大規模群集の推定に適した手法について実装・検証を行ってきた。本発表では,これまで提案されてきた様々な手法についてまとめ,我々が行った検証の結果について紹介するとともに,今後の実データへの応用についても議論する。