| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-053  (Poster presentation)

棚田の圃場整備による外来植物種の侵入が送粉ネットワークに及ぼす影響 【B】
Does functional diversity of pollinator decrease with increasing exotic plants in consolidated paddy fields. 【B】

*Gaku HIRAYAMA, 冨田誠之, 丑丸敦史(神戸大学)
*Gaku HIRAYAMA, Masayuki TOMITA, Atushi USHIMARU(Kobe Univ.)

 近年、農地の圃場整備による農業生態系の虫媒植物および昆虫送粉者の種多様性減少が報告されている。これらの種多様性減少は、植物の花筒長や送粉者の口吻長などの機能形質の多様性(機能的多様性)の減少を引き起こしうることが考えられている。花筒長および口吻長は、植物ー送粉者群集における種間相互作用に影響する重要な要因の一つであり、その機能的多様性が高い系では、各送粉者は自身の口吻長と一致する花筒長を持つ花に選好することが知られている。そのため、特定の花筒長を持つ花の減少による植物機能的多様性の低下は、特定の口吻長を持つ送粉者の減少をもたらしうると予測されている。本研究では、圃場整備による植物群集の機能的多様性に与える影響および植物の機能的多様性の変化が送粉者の機能的多様性に及ぼす影響を調査し、この予測の検証を行なった。
 調査では、阪神地区の里山域において、伝統的な管理が続く水田(伝統地)と圃場整備がなされた水田(整備地)を各4地点調査地として設定し、4-12月の生育期間に開花虫媒植物への訪花者の種数・個体数、訪花された植物種を記録した。観察された訪花者種と開花虫媒植物種については、それぞれの口吻長と花筒長を計測し、機能的多様性を算出した。各調査地のデータは、春、夏、秋の3つの季節データに分割し、解析に使用した。
 発表では、解析結果を踏まえて、圃場整備が植物ー送粉者群集の機能的多様性に及ぼす影響やその季節間差について議論する。


日本生態学会