| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-147  (Poster presentation)

フィーダー線型電気柵による登攀性ヘビ類への防除効果の検証
Effectiveness of the twin-lead type electric fence against controlling climbing snakes

*渡邉祥之(麻布大学), 渡瀬彩佳(麻布大学), 宮脇豊(サージミヤワキ(株)), 南正人(麻布大学), 塚田英晴(麻布大学)
*Yoshiyuki WATANABE(Azabu Univ.), Ayaka WATASE(Azabu Univ.), Yutaka MIYAWAKI(Surge Miyawaki Co.,Ltd.), Masato MINAMI(Azabu Univ.), Hideharu TSUKADA(Azabu Univ.)

電気柵は各種動物に対し高い防除効果を示すが、登攀性動物に対しては、設置上の制約により従来型の電気柵での防除が難しい。フィーダー線型電気柵はこの制約を克服し、アースとなる地面に接地しない動物に対しても電線接触時に電気刺激を与えられる。フィーダー線型電気柵を用いた先行研究では、登攀性哺乳類に対し高い防除効果を示すことが実証され、同じく登攀行動を示す樹上性ヘビ類のアオダイショウとシマヘビの2種でも一定の忌避効果が確認された。しかし、供試個体中に忌避効果を示さない個体がおり、確実な防除効果は確証できなかった。そこで本研究では、先行研究で用いた電源部の2倍と30倍の電気出力をもつ2つの電源部を用い、アオダイショウとシマヘビに対するフィーダー線型電気柵の防除効果を再検証した。
1階から2階へ続くポールに、フィーダー線型電気柵を巻き付けて実験した。低電圧から通電を開始し、5回連続で2階部分に到達するたびに電圧を上げて防除効果を検証した。その結果、電気出力が2倍の電源部では8.54 kV で10匹中4匹の供試個体に忌避効果を認めた。電気出力が30倍の電源部では、4.59 kV–8.08 kVで残りの6匹を含む全供試個体に忌避効果を認めた。さらに、ヘビの鱗は50 MΩ–475 MΩもの高い電気抵抗性を示した。
以上の結果から、フィーダー線型電気柵はヘビの防除に有効であるが、電気出力の高い電源部を用い、高電圧に保つ必要があることが明らかとなった。供試個体の中には、実験ケージの壁を利用して電気柵を避けて登攀する個体や、体長の4割ほどの高さまで体を持ち上げて電気柵を回避し、登攀を始める個体が確認された。したがって、フィーダー線型電気柵の設置の際には、接地高や、周囲の環境を考慮する必要性が示唆された。


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