| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨 ESJ68 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-172 (Poster presentation)
送粉様式は、植物の多様化と深く結びついている。特定の送粉者へ特殊化した植物群では、近縁植物種間で送粉者を使いわけることで種間交雑を回避し共存しやすくなるため、多様化が起きやすいと考えられてきた。
送粉者への特殊化が著しい送粉様式に、騙し送粉がある。多くの騙し送粉では、生物の死骸や排泄物に擬態した花香で訪花する習性をもたない送粉者を誘引する。一般に花を訪れるのはごく狭い範囲の分類群の送粉者のみで、種ごとに送粉者相は異なっている。騙し送粉を行う植物群には非常に多様化したグループが存在している。騙し送粉では、花香に起きた変化が、送粉者シフトによる種分化が起きることが示唆されている。
ウマノスズクサ属(Aristolochia)は、世界の熱帯-亜熱帯を中心におよそ 500 種以上知られており、送粉者の餌や産卵場所に擬態した花香によって誘引されたハエ目の昆虫により送粉される。発表者らは、日本産ウマノスズクサ属近縁種の送粉者相および花香の特徴を比較することで、劇的な多様性を遂げたウマノスズクサ属の多様化における花香の役割を検討していきたいと考えている。本発表では、リュウキュウウマノスズクサの送粉者と花香を示し、さらに送粉者相と花香の関係について考察する。