| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-176  (Poster presentation)

外来種ハイミチヤナギの侵入・定着に関する生活史特性の解明
Elucidate of life history traits related to invasion and establishment of invasive species Polygonum aviculare subsp. depressum

*宮本実穂, 大原雅(北海道大学環境科学院)
*Miho MIYAMOTO, Masashi OHARA(Hokkaido Univ. Env. Science)

新しい土地に侵入した外来植物の多くはその土地に定着できないが、一部の種は定着し侵略的になる。その理由ははっきりとわかっていないが、外来植物は定着するまでの過程で様々なフィルターに耐えなければいけない。そのため、外来植物の生活史特性と侵入した土地の生物・非生物的環境の関係を明らかにすることが、外来植物の生態の理解に重要である。
外来植物ハイミチヤナギ(Polygonum aviculare subsp. depressum)はユーラシア原産で外来種のリストである北海道ブルーリスト2010にも挙げられているが、日本における分布や生態に係わる研究は行われていない。日本にはハイミチヤナギと近縁な在来種のミチヤナギ(P. aviculare subsp. aviculare)が生育している。本研究では近縁な両種の生活史特性、分布域、生育地の環境特性を比較することで、ハイミチヤナギの侵入・定着のメカニズムを明らかにすることを目的とした。
野外調査は札幌市内全域で合計366地点で行った。このうち300地点は市街地にありながらも多様な環境が存在する北海道大学構内で調査を行った。分布調査ではハイミチヤナギは路傍、児童公園などの市街地を中心に札幌市内全域で見られ、ミチヤナギはほかの植物と混生する環境でよく観察された。土壌環境に関してはハイミチヤナギの生育地の方がミチヤナギの生育地よりも土壌硬度が高く、土壌含水率が低く、土壌pHが高い傾向が認められた。生活史特性として種子特性(形態・発芽率)と繁殖投資率(植物の総重量に対する花と種子の乾燥重量の比)を調査した。その結果ハイミチヤナギの方が小さく軽い種子を生産した。繁殖投資率はハイミチヤナギの方が高かった。
回の調査からハイミチヤナギとミチヤナギの分布は異なっているため、両種の競合は起きていないと考えられる。今後は外来植物の定着・拡大に寄与するといわれている埋土種子や個体の生存率などに関する調査を行うことで、ハイミチヤナギの侵略性がより明らかになると考えられる。


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