| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-194  (Poster presentation)

マルバシャリンバイにおける塩ストレス耐性の評価
Evaluation of salt stress tolerance in Rhaphiolepis umbellate Makino var. integerrima

*筒井悠理, 前田耕治, 半場祐子(京都工芸繊維大学)
*Yuri TSUTSUI, Kohji MAEDA, Yuko T HANBA(Kyoto Institute of Technology)

街路樹には、街並みの装飾のほかに、光合成によるCO2吸収や蒸散による冷却などさまざまな役割がある。街路樹が晒されるストレスのうち、塩ストレスは植物の呼吸、光合成および蒸散に深刻な影響を引き起こすことが知られており、近年では地球温暖化などに起因する台風の大型化により、海岸から離れた場所でも海水の巻き上げによる街路樹の塩害が報告されてきている。したがって、今後は、海岸部だけではなく都市部における街路樹植栽計画においても塩ストレス耐性の有無が評価の基準として重視されるようになる可能性がある。しかしながら、国内で街路樹の塩ストレス耐性を調べた研究は少ないため、本研究では、前年度の研究で塩ストレス耐性をもつことが示唆された常緑低木であるマルバシャリンバイを用いて、どの程度の塩濃度まで耐性をもつのか、塩ストレスを受けた後の灌水処理によって低下した生理学的機能は回復するのかを判定すること、また、マルバシャリンバイの塩ストレス耐性機構を解明することを目的とした。マルバシャリンバイを学内の温室で栽培し、50/100/150 mM NaCl水溶液約150 mlを週3回・約3週間与えた(塩処理区)後に、水道水約150 mlを週3回・約4週間与えた(回復処理区)。塩処理前と塩処理区および回復処理区の葉を用いて光合成機能や通水機能を測定したところ、生理学的機能はNaCl濃度が100 mMを越えると低下を始めた。また、生理学的機能は灌水処理を行っても回復しなかったため、塩処理停止後も塩ストレスは植物体内で継続することが示唆された。なお現在、葉・根内Na量、土壌電気伝導度の測定を行っている。


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