| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-293  (Poster presentation)

核DNAをマーカーとした魚類環境DNAメタバーコーディングの新規手法の開発
Development of novel fish environmental DNA metabarcoding assay using nuclear DNA marker

*佐々木大介(神戸大・院・発達), 山中裕樹(龍谷大・先端理工), 源利文(神戸大・院・発達)
*Daisuke SASAKI(Kobe Univ.), Hiroki YAMANAKA(Ryukoku Univ.), Toshifumi MINAMOTO(Kobe Univ.)

近年、魚類の網羅的な生態系モニタリングツールとして環境DNAメタバーコーディング手法の利用が拡大している。現在行われている多くの研究では、ミトコンドリアDNAの12S領域をマーカーとしているが、この領域では変異が不十分なため判別できない近縁種が存在する。また、ミトコンドリアDNAは母系遺伝であるため、交雑種の検出の際には母系の遺伝子しか検出できない。これは在来種と交雑する外来種を検出する際に、外来種の分布の過小評価につながる。それに対して、核DNAのリボソームRNA遺伝子領域には近縁種を判別するのに十分な変異があるため、この領域をマーカーとすることでこれらの問題を解決できる可能性がある。また、コイ(Cyprinus carpio)ではミトコンドリアDNAよりも水サンプルから検出されるコピー数が多いことが示されており、検出力が高いことも示唆されている。そこで本研究では、核DNAのリボソームRNA遺伝子領域をマーカーとするユニバーサルプライマーを作成し、魚類環境DNAメタバーコーディングの新規手法の開発を試みた。まず、データベースから得た12目、36科、63属、112種のシーケンスをアラインメントして、ITS2領域を挟む共通する配列にプライマーを設計した。魚類の組織から抽出したDNAで増幅を確認した後、琵琶湖、およびその内湖で採取した水サンプルでも同様にDNAの増幅を確認した。水サンプルから増幅したDNAの長さが、組織から抽出したDNAに対応する長さであることが分かった。今後、増幅したDNAの解析と、一般的な手法として確立するための諸条件の検討を行う。


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