| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-010  (Poster presentation)

ブタオザル、カニクイザルの河岸林利用に影響する要因
Factors influencing riverine utilization patterns in two sympatric macaques

*大谷洋介(大阪大学), Henry BERNARD(Universiti Malaysia Sabah), Anna WONG(Universiti Malaysia Sabah), Joseph TANGAH(Sabah Forestry Department), Augustine TUUGA(Sabah Wildlife Department), 半谷吾郎(京都大学), 松田一希(中部大学)
*Yosuke OTANI(Osaka Univ.), Henry BERNARD(Universiti Malaysia Sabah), Anna WONG(Universiti Malaysia Sabah), Joseph TANGAH(Sabah Forestry Department), Augustine TUUGA(Sabah Wildlife Department), Goro HANYA(Kyoto Univ.), Ikki MATSUDA(Chubu Univ.)

霊長類を含む陸生動物の多くは、水辺環境との多様な関連性の中で生活している。それぞれの種が水辺環境から受ける影響は、その社会的・生態学的特徴によって異なると考えられており、この関係を明らかにすることは野生動物の行動原理を理解するうえで重要である。本研究では、霊長類の社会的・生態学的要因と水辺環境利用の関係を明らかにすることを目的として、2種のマカク(Macaca nemestrina, M. fascicularis)の河岸利用に影響を与える要因を特定し、社会的・生態学的特徴が異なるテングザル(Nasalis larvatus)との定性的比較を行った。河岸でのマカクの目撃頻度は、河岸に特異的な果実の利用可能性と正の関係があり、捕食圧の程度に影響を与える川の水位と負の関係があった。マカクによる河岸利用は食物(特に果実)資源の分布と豊富さに大きく影響されており、また捕食圧と関連している可能性が示された。さらにテングザルとの定性的な比較から、採食ニッチや社会構造の差異によって対捕食者戦略が異なり、それによって河岸利用形態が変化することが示唆された。


日本生態学会