| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-022  (Poster presentation)

針葉樹人工林と落葉広葉樹林の間の土壌の交換が土壌ダニ群集構造に与える影響
The effect of soil block exchange on the community structures of soil mites between conifer plantations and deciduous forests

*長谷川元洋(同志社大学), 岡部貴美子(森林総合研究所)
*Motohiro HASEGAWA(Doshisha University), Kimiko OKABE(FFPRI)

これまで、土壌ダニ群集の住み場所の選好性は、土壌由来の要因か地上部環境の要因かを区別できなかった。この研究では、針葉樹人工林と広葉樹林の落葉層および土壌層を土壌ブロックとして採取し、それを互いの森林間で入れ替える手法で土壌要因の重要性の検討を行った。茨城県北部のスギ林と落葉広葉樹林が隣接する調査地を3箇所設定した。それぞれの森林から合計80個、土壌ブロック(125cm3)を採取した。土壌ブロックのうち、半分は-20度で凍結殺虫した。残りの半分は非撹乱の状態に保った。また半分は同じ森林に戻し、残りは他方の森林に移動させた。設置後1週間後、1ヶ月後、10ヶ月後、13ヶ月後に土壌ブロックを回収し、土壌動物を抽出した。以上から、非撹乱と殺虫のそれぞれの処理で、土壌ブロックの属性(スギ林土壌、広葉樹林土壌)、設置した林分の属性(スギ林、広葉樹林)の土壌ダニ群集構造に与える影響を検証した。
各ダニの分類群毎 [トゲダニ目、ケダニ亜目、ササラダニ亜目(コナダニ団以外)]に、冗長分析(RDA)もしくは正準対応分析(CCA)を用いて、種組成に与える土壌もしくは林分の属性の影響を調べたところ、いずれの分類群でも設置した林分の影響はほぼ調査期間を通じて認められたものの、トゲダニやケダニでは説明変数として土壌ブロックの違いはほとんど有意に選択されなかった。一方、ササラダニでは、1週間後、1ヶ月後までは土壌ブロックの違いも有意に選択されるが、10ヶ月後、13ヶ月後ではその影響は失われた。以上の事から、いずれの分類群でも設置場所の森林の好みは群集内の種間で見られるものの、有機物層や土壌への依存性は捕食者を含むトゲダニやケダニ等では小さく、直接有機物やそこに由来する菌類を摂食するササラダニでは大きくなると考えられた。


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