| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨 ESJ68 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-035 (Poster presentation)
植食生昆虫にとっての餌としての質は、一本の植物の中でもばらつきがある。その中で最も質の高い部分を摂食部位として選ぶと思われるが、実際にそうなっているのかをホタルガを用いて検証した。ホタルガは主にヒサカキの葉を摂食する。ヒサカキは常緑樹で今年出た葉(0年葉)から二年前に出た葉(2年葉)まで付いているので、そのうちのどの葉を利用するのか野外で調査した。その結果、越冬世代の幼虫(4〜5月)の摂食した0年葉の割合は樹上の0年葉の割合と同じくらいだった。休息時は主に1年葉にいたので、ランダムに葉を食べているのではなく、摂食時に新しい葉へ移動することがあると考えられた。餌としての質を調べるためにホタルガの幼虫にそれぞれの葉を与えて成長速度を調べたところ、0年葉を与えた幼虫は1年葉を与えた時よりも成長が遅かった。従って、ホタルガ幼虫は餌の質以外の理由で摂食する葉を選んでいると考えられた。