| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-036  (Poster presentation)

近傍個体を考慮したQTL解析の開発と虫害への応用
QTL mapping of plant neighborhood effects on insect herbivory

*佐藤安弘(JSTさきがけ, 龍谷大学), 武田和也(京都大学), 永野惇(龍谷大学)
*Yasuhiro SATO(JST PRESTO, Ryukoku Univ.), Kazuya TAKEDA(Kyoto Univ.), Atsushi J. NAGANO(Ryukoku Univ.)

植物の個体が受ける虫害は自身の遺伝子型だけでなく周囲の他個体にも依存することがある。昨年度、発表者らは近傍個体を考慮したゲノムワイド関連解析(GWAS)を提案した(Sato et al. in press)。本研究では、提案したGWASモデルを量的遺伝子座(QTL)マッピングに拡張し、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の近交組換え系統に適用した。まず、シミュレーションで検出力を評価したところ、近傍個体の効果の有効範囲が狭いほどQTLを検出しやすいことが明らかになった。次に、シロイヌナズナCol x Kas近交組換え系統を連結したセルトレイで栽培し、キスジノミハムシ(Phyllotreta striolata)の成虫30個体に3日間摂食させた。新たに提案したQTLマッピング法を食害率に適用した結果、GLABRA1遺伝子座上には自身の遺伝子型によるQTLが検出され、4番染色体上の開花期のQTLの近くには近傍個体のQTLが見られた。一連の手法はNeighbor QTLと名付けられ、近交組換え系統のほか、F2集団や戻し交配集団にも適用可能な手法としてRパッケージ化されている(https://cran.r-project.org/package=rNeighborQTL)。


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