| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-043  (Poster presentation)

イチジク送粉コバチの寄主転換と種特異性再構築
Host-shift and species-specificity reestablishment of fig-pollinating wasps

*蘇智慧(JT生命誌研究館, 大阪大学), 佐々木綾子(JT生命誌研究館), 楠見淳子(九州大学), Hsy-Yu TZENG(National Chung Hsing Univ.), Hong-Qing LI(East China Normal Univ.)
*Zhi-hui SU(JT Biohistory Res. Hall, Osaka Univ.), Ayako SASAKI(JT Biohistory Res. Hall), Junko KUSUMI(Kyusyu Univ.), Hsy-Yu TZENG(National Chung Hsing Univ.), Hong-Qing LI(East China Normal Univ.)

絶対送粉共生系は共種分化のモデルとして古くから研究されている。しかし、種特異性が極めて高いイチジク属植物とイチジクコバチの絶対送粉共生系では、近年の研究から厳密な共種分化を支持する証拠は少ないことがわかってきた。また、寄主植物と送粉コバチの系統関係の不一致から寄主転換による種分化も示唆された。寄主転換の種分化プロセスを探るために、我々は南西諸島・台湾を含めた島嶼と大陸に分布している近縁イチジク属6種とその送粉コバチを対象に、緻密な野外調査、広範囲なサンプリングと大規模分子データ解析を行い、「寄主植物の移入⇒コバチの寄主転換⇒種特異性再構築⇒生殖隔離⇒種分化」という種分化プロセスを明らかにした。また、5種の植物が1種のコバチを共有する、極端な送粉者共有(Pollinator-sharing)ケースや、異なるパターンの共送粉者(Co-pollinator)ケースも発見した。それらの発生過程についても考えたい。


日本生態学会