| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨 ESJ68 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-097 (Poster presentation)
日本産野生植物のフェロノジーについては、学術論文や植物図鑑、インターネット上の資料などを参照することにより多くの情報を得ることができる。しかし、展葉、開花、結実などを経て、種子散布や落葉へと至る一連の季節変化や現象を、実際の継続的な観察にもとづいて報告した事例は必ずしも多くない。著者は山陰海岸東部の海浜植生を対象に主として植生学的視点から調査・研究を進めてきたが、当地における代表的な海岸植物のフェノロジーを把握するために継続的な観察も行ってきた。
調査地は山陰海岸東部に位置する京都府京丹後市である。今回、海岸植物の中でも砂浜や砂丘を主な生育地とする「海浜植物」を、一日内により多く効率的に観察できるように数ヶ所の砂質海岸を選定した。選定した砂質海岸の砂浜・砂丘とその周辺の立地(海崖、風衝草原など)において、2015年4月から2017年2月にかけ、海岸植物28種の生育状態(展葉、開花、種子散布など)を毎月観察・記録した。
観察した海岸植物を海浜植物(ハマアオスゲ、コウボウムギ、コウボウシバ、ビロードテンツキ、ケカモノハシ、オニシバ、ハマエンドウ、イソスミレ、アナマスミレ、ハマハタザオ、オカヒジキ、ツルナ、スナビキソウ、ハマヒルガオ、ウンラン、ナミキソウ、ハマウツボ、ハマベノギク、ハマニガナ、ネコノシタ、ハマゼリ、ハマボウフウ、ハイネズ、ハマゴウ)、海岸崖地植物(タイトゴメ、ハマボッス)、海岸草原・林縁生植物(トウテイラン、ハマウド)に区分し、各種の展葉、開花、種子散布などの時期をとりまとめた。本発表ではこれら28種の中から、ケカモノハシ、イソスミレ、ハマハタザオ、ハマベノギク、ハイネズ、トウテイランの6種についてその概要を報告する。