| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-135  (Poster presentation)

ソーシャルメディア分析による野外レクリエーションサービスの全国評価 【B】
Using social media to value outdoor recreation services in Japan 【B】

*柴田嶺(新潟大学), 小黒芳生(森林総合研究所), 饗庭正寛(総合地球環境学研究所), 中静透(森林総合研究所)
*Rei SHIBATA(Niigata Univ.), Michio OGURO(FFPRI), Masahiro AIBA(RIHN), Tohru NAKASHIZUKA(FFPRI)

優れた自然景観や健全な生態系は文化的生態系サービスの1つであるレクリエーションの場として重要であり、これまで様々な手法を用いてその定量的評価が試みられてきた。しかし、既存の手法ではレクリエーションに含まれる様々なアクティビティ(キャンプ・登山・紅葉狩り)を分離して評価することは難しく、それらがいつ・どこで人々に享受されているのかを把握することは困難であった。本研究はソーシャルメディア上に存在するビッグデータからレクリエーションに含まれる各アクティビティに関連する投稿データを抽出することで、その全国的な時空間分布を定量的に評価する。そして、それぞれのレクリエーション利用の時空間分布を生み出す自然的・社会的を機械学習モデルにより明らかにすることを目的とした。

対象ソーシャルメディアは短文投稿サービスのTwitterと写真共有サービスのFlickrとした。日本国内に位置情報が付与されたTwitter及びFlickrの投稿を複数年分収集した。Twitterはテキスト中に各アクティビティ(キャンプ・登山・紅葉狩り)に関連する内容(例えば「キャンプ最高!」)が含まれる投稿を抽出した。また、Flickrに投稿された写真はGoogleが提供する画像認識AIであるVision APIを用いて写真の内容を判定し、各アクティビティに関連する投稿を抽出した。これらの空間分布パターンと周囲の環境要因との関係を機械学習の一種である勾配ブースティングを用いて解析した。

紅葉狩りに関する投稿は10月には自然度や落葉広葉樹林率が高い山間地の観光エリアに集中していたが、11-12月には文化的施設(社寺・庭園など)が多い人口集中エリアに分布が移動するなど、空間分布パターンの季節変動が見られた。キャンプ・登山に関してもそれぞれ特徴的な空間分布の季節変動が見られた。

本研究はレクリエーションを生み出す自然的・社会的要因はアクティビティにより異なっており、それぞれの要因との関係性は季節変化することを示した。


日本生態学会