| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-155  (Poster presentation)

長期窒素施肥が亜熱帯林土壌のarylsulfataseおよびphosphodiesterase活性に及ぼす影響 【B】
Effects of long-term nitrogen addition on soil arylsulfatase and phosphodiesterase activities in a mature sub-tropical forest 【B】

*Taiki MORI(Kyushu Research Center, FFPRI), Kaijun ZHOU(South China Botanical Garden), Senhao WANG(South China Botanical Garden), Cong WANG(South China Botanical Garden), Wei ZHANG(South China Botanical Garden), Jiangming MO(South China Botanical Garden)

硫黄とリンの循環に重要な役割を果たすアリルサルファターゼ(AS)とフォスフォジエステラーゼ(PDE)の活性に対する14年間の長期窒素添加の影響を調査した。調査は、中国広東省の亜熱帯常緑林に設置された長期施肥実験サイトで行った。窒素添加はAS活性を明瞭に低下させたが、炭素および窒素獲得に関わる加水分解酵素の活性を低下させることはなかった。このような特徴的なAS活性の応答は、長期窒素添加による土壌酸性化によって(i)土壌中の硫黄蓄積量が増加したこと、(ii)pH条件がAS活性に適した状態にシフトしたことに起因すると考えられた。一方、PDE活性に対する窒素添加の影響は観察されなかった。これは、窒素添加がフォスフォモノエステラーゼ(PME)活性を上昇させるという広く知られている事実とは対照的だった。この結果は、リンが欠乏した生態系では微生物および植物根はPDE分泌よりもPME分泌により多くの資源を投資するとのYokoyamaら(2018)の仮説を支持するものであった。


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