| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-181  (Poster presentation)

成層化した湖沼における生物の鉛直分布把握と環境要因との解析
Vertical distribution of zooplankton and fish communities as related to environmental factors in stratified lakes

*福森香代子, 今藤夏子, 高津文人, 土屋健司, 角谷拓(国立環境研究所)
*Kayoko FUKUMORI, Natsuko KONDO, ayato KOZU, Kenji TSUCHIYA, Taku KADOYA(NIES)

湖沼では、夏季の気温上昇により表層の水温が高まると成層化し、水深に沿って水温が急激に変化する水温躍層が発達する。水温躍層の上下における表水層と深水層は一般に混合しにくく、水温や溶存酸素濃度などの水質が異なるため、分布する生物種も異なる可能性がある。本研究は、水温躍層の上下における生物の鉛直分布を推定し、環境要因との関係を明らかにすることを目的とした。

サイズの異なる2つの湖、湯ノ湖(最大水深12 m)と中禅寺湖(最大水深163 m)において鉛直方向に採水し、MiFishプライマー(Miya et al. 2015)を用いて魚類の環境DNAメタバーコーディングを行った。配列データをAmplicon Sequence Variant(ASV)法で解析した結果、ウグイやワカサギは水温12℃以上の表水層で多く検出される傾向があった。また、ニジマスのリアルタイムPCRプライマーセット(Minamoto et al. 2018)を用いて鉛直方向の環境DNAを定量したところ、湯ノ湖における本種のDNAコピー数は表水層や深水層で多く、水深5mでは少なかった。以上の結果から、環境DNAを用いて生物の鉛直分布を評価できる可能性が示された。本研究では、ニジマスのDNAコピー数に影響を与える環境要因についても報告する。


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