| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨 ESJ68 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-183 (Poster presentation)
大峯山 (奈良県南部) においてカメラトラップ法を用いて標高経度に沿った中・大型哺乳類相を明らかにした.大峯山の標高845 - 1,889 mに37台のカメラトラップ (Bushnell Trophycam HD) を設置して,中・大型哺乳類相を調査した.カメラは,2014年4月から2020年9月まで断続的に設置した.のべ19,940日のカメラ稼働日数で,ニホンザル,ネズミ科sp,ニホンリス,ニホンノウサギ,翼手目sp,ニホンカモシカ,ニホンジカ,イノシシ,テン,アナグマ,ニホンイタチ,タヌキ,ツキノワグマ,アカギツネ,不明哺乳類の12種9,094頭を撮影した.撮影頻度指標 (RAI : relative abundance index; 撮影頭数/カメラ稼働日数×100) と標高,種数と標高の関係を一般化線形モデルで解析したところ,哺乳類相は標高に応じて変化して,標高に応じて哺乳類の撮影頻度RAIは異なった.哺乳類のRAIと標高の関係は,4種が増加傾向,8種が減少傾向を示した.哺乳類種数と標高は,減少傾向が見られた.調査地近辺は,標高845 – 1,300 mのツガ・モミを主とする広葉樹林,標高1,300 – 1,700 mのウラジロモミ・ブナ・オオイタヤメイゲツを主とする針広混交林,標高1,700 – 1,889 mの針葉樹林であるトウヒ・シラビソ林とシラビソ林に分けられ,雑食獣の餌となる広葉樹が多い標高845 – 1,300 mの広葉樹林 (8.1種) と針広混交林 (7.6種) の森林で哺乳類は多く,餌の少ないと推測される針葉樹林 (3.6種) で少なかった.