| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨 ESJ68 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-189 (Poster presentation)
1990年から開始された河川水辺の国勢調査では、おもに日本国内の一級水系の河川の河道内における生物調査等が各河川について5年もしくは10年ごとに行われている。特に植物調査および河川環境基図調査では、河道内における植生図が作成されており、GISデータとして利用可能である。これまでの調査で植物種については日本の野生植物種の約半数である約3500種が確認されており、河川域には多様な植物種が生育していることが分かっている。その中でも河道内氾濫原を主として生育する水生植物群落は全国の河川において群落面積やその種数が減少しているとされているが、河川域における水生植物群落の研究は限られており、群落の出現傾向等は不明な点が多い。
そこで本研究では、水生植物群落に着目し、それらの出現傾向の把握および各環境要因との関係性について明らかにすることを目的とした。
ここでは岩木川、九頭竜川、信濃川で共通して生育する水生植物群落を対象とした。これらの河川の植生図をQGIS上で河口から1kmごとに区分けし、各セグメントにおける各群落の出現傾向を把握した。各環境要因が各植生群落に与える影響については、各群落の面積、H18 社会資本重点整備計画のための物理環境調査結果(水際の複雑さ、平均の水面幅、河川の蛇行度等)に基づくデータを用いて解析を行った。
各河川で共通して生育した水生植物群落はウキヤガラ-マコモ群集、ガマ群落、セリ-クサヨシ群集、ツルヨシ群集、ヒメガマ群落、ミゾソバ群落、ヤナギタデ群落、ヨシ群落であり、すべて抽水水生植物群落だった。ウキヤガラ-マコモ群集についてはセグメント2-2、ツルヨシ群集についてはセグメント1および2-1において区画あたりに出現する平均面積が大きかった。
これらの結果より、水生植物群落ごとの出現セグメントや環境要因による水生植物群落の在不在について検討する。