| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨 ESJ68 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-224 (Poster presentation)
沖縄県はフイリマングースによる在来生態系への影響懸念から2000年よりやんばる地域におけるマングース対策事業を実施、2011年からは捕獲率向上を期待し探索犬を導入した。
沖縄県環境部自然保護課が有する2013年から2018年までの事業データから、わな捕獲と探索犬捕獲貢献の関係性を検討したが、捕獲貢献と周辺環境との関係性は資料から読み取ることはできなかった。そこで、探索犬捕獲貢献エリアの植生に着目し、その関係を検討した。2013年から2018年における探索犬によるマングース捕獲貢献地点を抽出し、森林植生の違いを検討するため、やんばる地域北部(赤又山周辺)と南部(玉辻山周辺)の2エリア、各エリア6メッシュ(1メッシュ=1.0×1.3km)を調査範囲に設定した。メッシュ内の移動ルートを考慮して1メッシュを6区分し、1区分内1コドラート(20×20m)の植生調査を実施した。調査では地形、日当、方位、被度、群度、種名、高さ(m)、胸径(cm)、階層は高木と亜高木に限定し、低木ならびに草本層は優占種と様相のみ記録した。探索犬によるマングース捕獲貢献総数は、北部 (赤又山周辺)64頭、南部(玉辻山周辺)38頭だった。どちらのエリアも樹高は斜面、平地、尾根で高い傾向が認められた。ところが高木層と亜高木層の植被率は北部で35%、65%、南部で39%、61%と類似傾向にあった。探索犬によるマングース捕獲貢献地点周辺環境は北部と南部に顕著な差は認められなかったが、北部は胸径の大きい木が多かった。また、探索犬による捕獲貢献地点は斜面が多いことから、マングース捕獲は斜面に高木や草本の密生が認められる環境がポイントになるのかもしれない。