| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨 ESJ68 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-229 (Poster presentation)
外来生物は移入先の生態系に甚大なダメージを与えることから、世界中で大きな問題となっている。日本国内の淡水河川では、コモチカワツボやサカマキガイ、インドヒラマキガイ、カワニナ類、モノアラガイ類、シジミ類などの外来淡水貝が発見されている。しかし、その移入経路は不明であることが多く、河川への移入源を家庭のアクアリウムと推定することも多い(国立環境研究所侵入生物DB)。そこで、家庭のアクアリウムにおける淡水巻貝の情報を調べたところ、水槽内で大量発生し駆除される迷惑な貝がいること、迷惑貝とは別に水槽壁面の掃除のための苔取り貝が販売されていることがわかった。
本研究では、ペットショップのアクアリウムに混入している外来種が家庭のアクアリウムに持ち込まれているのではないかと推測し、ペットショップにおける外来淡水巻貝の実態を明らかにすることを目的に、国内のペットショップやインターネット販売における淡水巻貝について調査した。
2019年8月~2021年1月に関東周辺のペットショップおよびホームセンターのペットコーナーを訪問し、水槽内に混入した迷惑貝の採集、店員への聞き取り調査、苔取り貝の購入を行った。また、可能な場合は迷惑貝の発生している水槽の水質(水温、pH、硝酸イオン、電気伝導率)を測定した。さらに、インターネットで販売されている苔取り貝について調べ、販売されている巻貝について種名や商品名、価格などを記録した。
その結果、迷惑貝としておよそ8種(+近縁種)が見つかり、最も多く見つかったのは外来種のサカマキガイであった。また、在来種であっても国内移入種と考えられる種もみられた。苔取り貝として販売している貝のメジャーな種の一つは、外来種のインドヒラマキガイであり、苔取り貝は水槽のインテリア的な楽しみ方をする特徴から、外国産のカラフルな貝や棘がある貝を消費者が好む傾向も見られた。