| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨 ESJ68 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-233 (Poster presentation)
外来種は生物多様性減少の主要因のひとつである。外来種対策を行う上では、対象種の分布状況を把握することが重要であるが、予算の制約により大規模な調査を実施することは困難な場合が多い。ディープラーニングを用いて、画像の中から対象種を自動的に識別することができれば、低い費用で広範囲の分布状況を把握することが可能になる。しかし、植物のように不定形である場合、従来のディープラーニング技術では識別が困難であった。近年開発されたChopped picture methodは画像を数十ピクセルほどの「こま切れ」に分割することで効率的に植生の自動識別を可能にする技術である。この手法は不定形な植物の識別を可能にしただけでなく、ディープラーニングの課題であった教師画像の取得を容易にした。市販のデジタルカメラで撮影した画像から対象種を識別できる人工知能モデルを作成することができれば、市民科学も活用しながら従来では不可能だったスケールでの調査が可能になる。本研究では、全国に広く分布する北米原産のセイタカアワダチソウを対象種とし、Chopped picture methodを用いてセイタカアワダチソウを自動識別する人工知能モデルの作成が可能かどうか検証することを目的とした。主要な開花時期である10月の晴天時に野外の個体を一眼レフカメラとDJI Pocket2で撮影した。撮影画像の中でセイタカアワダチソウの花の部分のみを選択した画像を教師画像とし、kerasを用いて学習を行った。モデルの検証の結果、比較的高い精度でセイタカアワダチソウを識別できることが判明した。しかし、別種の黄色い花にも反応してしまう偽陽性が生じることが明らかになったため、教師画像に別種の黄色の花を加えることや、Chopped picture methodのこま切れサイズを変更することで、モデルの精度が向上するかどうか検討した。