| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-281  (Poster presentation)

AI技術によるサシバの鳴き声の自動検出
A automatic detection of Grey-faced Buzzard calls using Convolutional Neural Network

*田口華麗(国際航業(株)), 前川侑子(国際航業(株)), 鈴木雅人(国際航業(株)), 牛込祐司(国際航業(株)), 松井孝典(大阪大学)
*Karen TAGUCHI(Kokusai Kogyo Co., Ltd), Yuko MAEGAWA(Kokusai Kogyo Co., Ltd), Masato SUZUKI(Kokusai Kogyo Co., Ltd), Yuji USHIGOME(Kokusai Kogyo Co., Ltd), Takanori MATSUI(Osaka Univ.)

建設事業に伴う環境アセスメントにおいて、猛禽類の生息状況等を把握する調査が実施されており、一般的な猛禽類調査は目視観察が主体である。調査で得られるデータは周年の行動の一部であり、調査データの集積が必ずしも十分であるとはいえず、視認が悪い地形や悪天候等により見落としが発生する可能性がある。そこで、本研究では、費用対効果が大きい調査手法として、録音した音声のみによるモニタリング手法の開発を目指し、AI技術を用いた音声解析により、対象種の鳴き声を自動検出するシステムを開発した。対象種は環境省レッドリスト2020において絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されているサシバ(Butastur indicus)とした。サシバは日の出前から日没後まで活動し、「ピックイー」と鳴くことが知られている。
本研究では、繁殖期間中の5~6月にサシバの営巣地周辺で、一般的なICレコーダーを用いて録音した音声を使用した。録音した音声データから鳥類の鳴き声やその他のノイズ等を抽出し、スペクトログラム画像に変換した。当該画像を「サシバ」と「その他」の2クラスに分類した学習用データセットを作成した。このデータセットをAI技術の1つであるConvolutional Neural Network(CNN)により学習させ、サシバの鳴き声を識別するシステムを構築した。構築したシステムに対し、交差検証を行うとF値が約89%となった。次に、システム構築に使用していない時期・地点での録音データに対する汎化性能を評価した結果、精度は劣るものの、F値が約80%となった。最後に、効果的に調査ができる時間を調べるため、サシバの鳴き声の数を時間帯別に比較した。鳴き声の数に顕著な傾向はみられず、既知の情報と同様に長時間活動していることがわかった。鳴き声を自動検出し、時期・時間別に整理することができたことから、サシバの生態調査にも利用できる可能性が示唆された。また、活動時間の長いサシバの行動を反映した効率的で効果的な調査が可能になると考える。


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