| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨 ESJ68 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-282 (Poster presentation)
外遊びは、心身の健康の維持に効果的なだけでなく、人と自然との関わりにおいても重要な役割を担う。近年、子供の外遊び体験の喪失により将来的な人と自然の関係に悪影響を及ぼす可能性が懸念されているが、2019年12月に発生した新型コロナウィルス感染症のパンデミックは人々の行動に大きな影響を与え、子供の外遊びも大きく抑制された可能性が示唆されている。本研究では、新型コロナウィルス感染症のパンデミックによる子供の外遊びの変化と、外遊びに影響を与える要因を明かにするため、神奈川県川崎市の小学校5,6年生を対象にアンケート調査を行った。アンケートは感染第二波後にあたる2020年9月に実施し、「パンデミック前と感染第二波後の外遊びの状況(頻度、グループサイズ、場所、種類)」、「外遊びへの関心」、「新型コロナや外遊びへのリスク認知」、「個人属性」について質問を行い、外遊びの変化とその要因について分析した。その結果、外遊びの頻度、グループサイズ、場所、種類のすべてにおいてパンデミック前から変化し、頻度の減少、グループサイズの縮小、一部の遊び場所、種類で遊ぶ児童の減少等がみられた。一方で、自然遊びや自然空間での遊びは変化しなかった。また、パンデミック前も感染第二波後も外遊びへの関心は子供の外遊びに正の影響を与えていた。リスク認知は感染第二波後の外遊びに負の影響を与えるものの、その影響は外遊びの関心に比べると小さかった。また、性別や学年は有意な影響を与えなかった。以上の結果から、外遊びへの関心の高さが外遊びを促進する重要な要因であることが示唆され、感染拡大後の子供の外遊びを維持、回復させるには、日常的に子供の外遊びへの関心を高く維持することが重要であると考えれた。今後、学校の教育や屋外活動のプログラムによって非日常も含めた活動機会をつくることが求められる。