| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-286  (Poster presentation)

岡山県旭川における都市域の自然を対象としたエコツアーの試案
A proposal on canoe ecotour on the Asahi River, Okayama Prefecture

*太田謙(岡山理大研究社会連携)
*Ken OHTA(Okayama Univ. of Science)

はじめに
エコツーリズムは、地域の自然環境や歴史文化を保全しつつ、それらを体験する観光のありかたとされる。エコツーリズムは観光の側面を持つことから、既存の例は自然の豊かな地域に偏る傾向があり、とりわけ瀬戸内沿岸地域はエコツーリズムの空白地帯といえる。 カヌーを漕いで水上に出ることは、視覚・聴覚・触覚等の五感を駆使した上で、流れや波など自然の変化に対応する感性・知識を磨くため、教育効果が高いとされる。本研究では、これまでに無い新たな試みとして、岡山県を流れる旭川において、都市域の自然を対象としたカヌーエコツアーの試行を行った。
方法
エコツアーは岡山県岡山市北区の旭川の下流部(中原橋~京橋)で実施した。ツアーでは、カヌーに乗って参加者と共に川を下りながら、河川に適応した樹種であるヤナギ類の生態や、川の中に点在する小島群の由来など、旭川の自然について解説を行った。
結果
自然の解説を実行できる場所は、カヌーが水流の影響を受けるため、流れが撚れて反転するエディーができる場所に著しく限定された。そのため、解説の候補であったが紹介できないテーマがいくつか存在した。
考察
河川は洪水や増水によってダイナミックに変動する環境であり、それに伴って河川に生育する植物は侵入・定着・発達・崩壊のサイクルを繰り返すとされる。そのため、陸上からではなく、水上の視点から河川の自然を観察することは、河川の生態的特性の本質を理解することに役立つと期待された。 いくつかの問題はあったものの、カヌーを用いて、水面に近い視点から、水の流れに身を任せて都市域の河川の自然を観察することは、新たなエコツアーの手法として有望と考えられた。


日本生態学会