| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-292  (Poster presentation)

捕食者の毒獲得機構の検討―被食者の毒の獲得に注目して―
The mechanisms of predator poisoning -The role of poison of  prey -

*岩田繁英(東京海洋大学)
*Shigehide IWATA(TUMSAT)

フグは海洋微生物起源の毒を海洋微生物の捕食を通じて獲得することが知られている。しかし、海洋微生物の毒量だけでは実際のフグに含まれている毒量を説明するには量が足りないためフグ毒の獲得経路として異なる経路が考えられる。そこで、フグが獲得している毒が何に由来するものかを補足して説明することが求められる。フグによる毒獲得手段の仮説として、海洋微生物を捕食する中間捕食者のヒラムシの存在が挙げられる。海洋微生物を直接食べるだけでは毒の獲得としては不十分で生物濃縮を利用して効率的に毒を獲得するというものである。本研究ではギルド内捕食システムを取り上げて毒の獲得に関する考察をおこなう。また、海洋微生物は海中に普遍的に存在していることから他生物が毒を獲得する場合の評価モデルとして利用することができないか検討する。
 本研究で利用するシステムはギルド内捕食システムを考える。高位消費者としてフグ、中間消費者としてヒラムシ、生産者として海洋微生物を取り上げて組み込みモデルを構築する。モデルの解析の結果、海洋微生物のみが存在する平衡点、ヒラムシと海洋微生物が共存する平衡点、フグとヒラムシが共存する平衡点、フグ、ヒラムシ、海洋微生物が共存する平衡点の4つが存在することが分かった。報告では、獲得毒量について3種が共存する平衡点におけるフグの毒量、2種が共存する平衡点におけるフグの毒量(フグとヒラムシが共存する平衡点における平衡点)について主に解析をして各々の状況における毒量の寡多について議論をする。


日本生態学会