| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-295  (Poster presentation)

セイタカアワダチソウの花上細菌叢と季節変動
Community composition and seasonal change of floral microbe on Solidago altissima

*武田和也, 潮雅之, 酒井章子(京都大学)
*Kazuya TAKEDA, Masayuki USHIO, Shoko SAKAI(Kyoto Univ.)

植物の花上には多様な微生物群集が存在し、花香や花蜜成分を変化させたり、柱頭や蜜腺から組織内に侵入して病原性を示したりすることで、植物の繁殖成功に影響を与える。花上の微生物群集は送粉様式などの植物の形質によっても異なる他、気温などの環境条件に強い影響を受けることが知られている。また、葉圏の微生物群集の研究からは、同じ植物種上でも季節的な環境変化に応じて微生物群集の組成が変動することが報告されており、花上での植物と微生物の相互作用も開花する季節によって変化している可能性がある。しかしながら、花上の微生物群集の季節変動を調べた研究はこれまでほとんどなかった。セイタカアワダチソウは北米原産の帰化植物であり、秋から初冬のおよそ2ヶ月間にわたって開花する。この期間に日平均気温は17.3℃から6.3℃(10月–12月、大津市)まで低下するなど、環境条件は大きく変動しており、花上の微生物群集への影響が予測される。演者らは滋賀県大津市に生育するセイタカアワダチソウ個体群を対象に、2020年10–12月に花微生物サンプリングを実施し、Illumina iSeq 100 を用いた16SrRNA遺伝子v3領域のアンプリコンシークエンスによって、開花期を通した花上細菌叢の変動を調べた。また、セイタカアワダチソウの花から単離培養した細菌4系統を開花直後の花に噴霧接種し、それらの細菌がセイタカアワダチソウの繁殖に与える影響を調べた。本発表ではその結果を報告する。


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