| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-296  (Poster presentation)

八ヶ岳亜高山帯林におけるコケの分解に伴う菌類遷移
Fungal succession during  moss decomposition stage in a subalpine forest on Mt.Yatsugatake

*永田祐大(同志社大学), 松岡俊将(兵庫県立大学), 長谷川元洋(同志社大学), 大園享司(同志社大学)
*Yudai NAGATA(Doushisha University), Shunnsuke MATUOKA(University of Hyogo), Motohiro HASEGAWA(Doushisha University), Takasi OSONO(Doushisha University)

コケは熱帯地域から高緯度地域までの水域および陸域といった至る所に存在し、地球上のバイオマスに大きく貢献している。そのため、現在多くの生態系の不可欠な要素として研究されている。
コケはコロニーを形成して生育し、菌類を含む多くの微生物の生息地となっている。コケに生息する菌類は、コケ組織を分解することにより土壌中の養分循環や土壌形成といった陸上生態系において欠かせない役割を担っている。また、コケのコロニーの断面には分解段 階に伴った層構造が形成されることがあり、コケを層ごとに分け、各層から菌類を分離・同定し層間で比較することにより、コケに定着する菌類の分解段階に伴う遷移を明らかにすることができる。過去の研究では、極地に生息するコケを用いた分解段階に伴う菌類遷移について調べられた例があり、Osono et al.(2012)では北極に生息するイワダレゴケとシモフリゴケを、Hirose et al.(2017)では南極に生息するオオハリガネゴケを用いて研究がおこなわれている。地球上の様々な気候帯においてコケと菌類は重要な役割を果たしているにもかかわらず、極地以外の気候帯での研究例は見られない。本研究では、八ヶ岳の亜高山帯林に生息するイワダレゴケを用いて分解段階に伴う菌類遷移を明らかにすることを試みた。
 採取したコケを分解段階に伴う層構造に従い4層に分け、計120のサンプルを作成した。作成したサンプルをLCA培地に接種、暗黒下20℃で培養し、培養開始から3日、1週間、3週間、6週間後の4度にわたり分離培養を行った結果、計342の菌株を得られた。得られた菌株をDNAバーコーディングを用いて種の同定を行い、各層での菌類の優占種や、Shannon diversity indexを用いた多様度指数の解析を行うことを試みた。


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