| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-04  (Poster presentation)

岐阜県大垣市に生息するマホロバサンショウウオの生活史の解明
Life cycle of Mahoroba salamander(Hynobius guttatus) in Ogaki City, Gifu

*古田晏寿, 井上歩実, 竹内恒太, 太田悠梧, 高木雅紀(大垣北高等学校)
*Anju FURUTA, Ayumi INOUE, Kota TAKEUCHI, Yugo OTA, Masaki TAKAGI(Ogakikia Senior High School)

岐阜県大垣市内の野外生息地で2019年6月から2020年6月までに13回の野外調査を行い,マホロバサンショウウオが発見された場所の温度・湿度,土,発見された場所と産卵が行われると考えられる沢との距離の変化を調査した。その結果,マホロバサンショウウオは涼しく,石の下などの適度に湿っている環境下で,特に黒い腐植土のある場所にいることが分かった。頭胴長が50mm以上の成体は10月には標高が高く沢から離れた場所で見つかり,11月の終わりには繁殖を行う沢周辺で発見されたことから,晩秋に繁殖場所周辺に移動し,行動範囲が広いことが分かった。頭胴長が30mm以下の幼体は沢周辺でしか見つからなかったため,行動範囲が狭いと考えられる。室内での行動実験から,マホロバサンショウウオは夏期の高温や厳冬期の低温を避けて地中で上下に移動をし,自らが好む温度帯に留まることが示唆された。生息地において,10月から12月と4月から5月に発見されるのは,地表付近の温度がマホロバサンショウウオの好む温度になっている時期であり,小型の幼体から成体に至るまで地表付近に留まっているからであると考えられる。また,10月から12月にかけて成体は繁殖場所の沢に移動中であることも発見されやすい要因であると考えられる。野外では黒い腐植土の上に必ずいたが,室内での行動実験においてもその傾向が大きく,嗅覚によって土の識別を行っている可能性が大きいと考えられた。


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