| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-07  (Poster presentation)

宮田川における時の経過と水質改善措置による鉱排水汚染下の生物相調査
Biota survey under mine drainage pollution by the passage of time and water quality improvement measures in the Miyata River

*小川大智, 越川真寿, 橋村大輝, 吉原陽向, 清水睦月, 大久保慶志, 小泉智弘(明秀学園日立高等学校)
*Daichi OGAWA, Mahiro KOSHIKAWA, Taiki HASHIMURA, Hinata YOSHIHARA, Mutsuki SHIMIZU, Keiji OKUBO, Tomohiro KOIZUMI(Meishu Gakuen Hitachi H.S)

宮田川は、茨城県日立市を流れる全長約7kmの二級河川である。日立鉱山の創業以来、主に抗廃水の影響を受け川の汚染が進み、生物たちは姿を消した。現在では公害対策やインフラ整備も相まって環境は改善に向かったとされているが明確なデータがほとんど残されておらず、同河川の生物相に関して未明の部分が多い。そこで、現在の宮田川の生物相を理解するため下流〜中流域を7地点に分け、約一年間の調査にあたった。その結果、宮田川では良質な水質を好む水生昆虫が多数見つかり、とりわけヘビトンボ類3種が河川の広範囲にわたって生息していた。魚類は昆虫類に比べて個体数や種数は少ないが、茨城県RDBに掲載されている希少種のボウズハゼが確認されたことは注目に値する。また、水質評価法マニュアルに従って同河川の水質を判定したところ、ASPT(平均スコア)が良好であることが判明した。以上の点より、宮田川の水質環境と生物相は著しく回復したと推察される。しかし、魚の分布を制限している堰の存在や、投棄されたゴミなど保全における課題も未だ多い。蘇った宮田川の生物相を保全し続けるためにも、活動を続けてゆきたい。


日本生態学会