| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-15  (Poster presentation)

ハリヨ個体群における最適な保全方法について
About the ideal conservation method for the Gasterosteus aculeatus subsp. population.

*佐藤颯太(滋賀県立河瀬高等学校), 田井中瑚伯(滋賀県立河瀬高等学校), 原口大生(長浜バイオ大学)
*Sota SATO(Kawase High School), Kohaku TAINAKA(Kawase High School), Daiki HARAGUTI(Nagahama Biology University)

我々、河瀬高校科学部魚班は平成30年から滋賀県河川A(環境保全のため河川名は伏せる)に生息しているハリヨ(Gasterosteus aculeatus subsp.)を対象に調査を続けている。河川A におけるハリヨが確認された地点が2箇所。また、一平方メートル当たりの生息数が約9.22匹と少地点に多量のハリヨが生息しており、人災や天災などによる生息域の消失はハリヨの絶滅に繋がる為、早急な保全が必要だとこれまでの研究で判明した。そこで我々は河川Aに生息するハリヨの生態を究明し、最適な保全方法を探ることを目的として研究を進める。
今年度は2つの方向からハリヨの生態について調べる。はじめに、当該個体群の主な産卵時期の特定である。ハリヨは通年産卵し主に4月下旬ごろが主な産卵時期といわれている。しかし、これまでの調査から年に数回稚魚が多く獲れる時期があり、産卵時期のピークは4月下旬の1度限りではないことが判明した。ハリヨは巣をつくり産卵する、河川Aにおけるハリヨの生息地点は水深が深く水底が見えない。よって、不用意に調査を行い、巣を破壊することはハリヨの繁殖を妨げるため避けなければいけない。そこで我々は長浜バイオ大学未来生物学研究所協力の下、環境DNAを用いた全数調査と水中カメラを用いた巣の確認を行うことでハリヨの産卵時期を特定する。
次に、ハリヨの生息地点間の移動である。ハリヨは本来遊泳力が低く、生息地点間を移動することはできない。しかし、過去の調査で本来生息していない本流側でハリヨが確認できたこと、河川Aにはハリヨの生息が確認できていないものの生息可能な地点が数箇所確認されていることから、河川Aに生息するハリヨ特有の生態として調査地点間を移動している可能性があると考えられる。そこで、ハリヨの遊泳力調査や定期的に生息可能地点を探ることで、ハリヨの生息地点間移動について調査していく。


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