| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨 ESJ68 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-35 (Poster presentation)
本研究では、身近な花であるツツジの酵母を用いて、生分解性プラスチックを分解できるかどうかについて調べた。
石川らの先行研究においては、農業環境技術研究所で採集したイネの葉から生プラ分解菌の分離を試み、乳化状の生プラを分解する微生物(酵母株)が分離され、いずれの株も固体状のPBSやPBSAフィルムを分解したことが報告されている。しかしながら、花から採取した酵母による分解についてはこれまで報告されていない。そこで、石川らが発見した生プラ分解酵母菌であるP.antarcticaとは別の種を発見し、生プラ分解手法の確立に貢献し、プラスチックごみ問題の解決に繋げることを目指している。
本校敷地内には多数のツツジが植えられており、そこから酵母が得られることは、本校の過去の研究によって分かっているため、ツツジから採取できる酵母を実験対象とした。まず、校内にあるツツジから採取した酵母を培養し、分離を行った。その結果、ツツジの花の一種類の酵母菌の集合体である、シングルコロニーを得ることに成功した。そしてそのコロニーを用い、生分解性プラスチックの分解能力を調べた。
実験の結果、ツツジの酵母のPBSAフィルム分解は目視では確認できなかった。しかしながら、PBSAを含むエマルジョン寒天培地上においては生分解性プラスチックの分解が確認された。その結果を踏まえ、現在得られた酵母からゲノムDNAを抽出し、リボソームDNAのITS領域の解析などから種の同定を行っている。また、先行研究より、PBSAを含むエマルジョン内で酵母株を培養させた場合、生プラを分解する能力があれば濁度が変化するということが分かっているので、本研究でも同様の実験系で検証を行っている。