| 要旨トップ | ESJ68 自由集会 一覧 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


自由集会 W11  3月20日 17:00-18:30 Room C

間接効果を通して見る世界:(3)種内の関係が生物群集を変える
Novel ecological perspectives arising from indirect effects: How indirect effects contribute to understanding of ecology and evolution of behavior?

辻和希(琉球大学), 大串隆之(京都大学)
Kazuki TSUJI(University of the Ryukyus), Takayuki OHGUSHI(Kyoto University)

「間接効果」は、あらゆる生態システムで主役を演じている。栄養カスケードや見かけの競争は、生物群集や食物網を語る上で今や避けては通れないキーワードになった。一方、種内の個体間関係でも間接効果はキープレイヤーだ。たとえば、包括適応度は遺伝的な間接効果そのものだ。また、現在、台頭しつつある生態進化ダイナミクスの発展に、間接効果の考え方は欠かせない。さらに、社会科学、経済学、文化人類学、遺伝子ネットワークの分野でも注目され始めた。このように、生態学の枠を超えて幅広い分野でホットな話題を提供している、それが間接効果だ。日本の生態学がこの世界の学際的激流に飲み込まれ溺死しないうちに、サーファーよろしく大波を捕らえて中天高く舞い上がろうではないか。それには、「間接効果」との出会いの場が必要だ。それがこの自由集会である。ここではさまざまな分野の研究者に、間接効果との出会いや自らの研究を通して体験した間接効果の「ごりやく」を披露してもらう。
 今回は生物個体から見た間接効果の「ごりやく」だ。生き物は競争、摂食、防衛、配偶、子育てなどさまざまな行動を通して他の個体と繋がりを持っている。このような行動の生態や進化を、適応度という窓を通して鑑賞するのが行動生態学の醍醐味である。今回は種内関係という世界に分け入って、それが個体群や群集の中で演じる姿をしっかりと見届けたい。生き物たちの多彩な振る舞いを見せる二者の関わりが第三者によってどう変わるのだろう。種間の関係から転じて、個体間の間接効果に目を移した時に、どんな世界がわたしたちの前に広がるのだろうか。

1. はじめに
 大串隆之(京大・生態研)
2. 血縁選択から群集へ
 辻和希(琉球大・農)
3. 植物の他個体認識・応答システムがもたらす意外な間接効果
 山尾僚(弘前大・農)
4. 遺伝的変異が生みだす種内の間接効果の表現型基盤
 高橋佑磨(千葉大・院・理)


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