| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


自由集会 W15-2  (Workshop)

日本の生物多様性及び生態系サービスの総合評価結果
Outline of the results of assessments in the “Japan Biodiversity Outlook 3".

*中静透(森林研究・整備機構)
*Tohru NAKASHIZUKA(Forest Prod Res Inst)

 2016年、生物多様性の状況を国民に分かりやすく伝え、政策決定を支える客観的情報として活用することを目的とし、生物多様性と生態系サービスの状況と傾向、それらが人間の福利にもたらす効果の評価結果をとりまとめた「生物多様性及び生態系サービスの総合評価」(JBO2)が公表された。
 その後、2019年に「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム」(IPBES)総会第7回会合において「生物多様性と生態系サービスに関する地球規模評価報告書」が受理され、政策決定者向け要約(SPM)が承認・公表された。この中では、生物多様性の損失には、土地利用の変化等の直接要因だけではなくその背後にある根本原因である社会・経済的な間接要因が関係していることが明記された。また、SDGsや生物多様性条約の2050年ビジョンなど、2030 年以降の目標の達成に向けて、経済、社会、政治、技術すべてにおける変革(社会変革)が必要であること、これに有効な5つのレバーと8つのレバレッジポイントが示された。
これらの流れを踏まえ、環境省生物多様性及び生態系サービス総合評価に関する検討会では、令和元年度から2年間かけて生物多様性及び生態系サービスの総合評価2020(JBO3)の取りまとめ作業を行った。この中で、わが国の生物多様性と生態系サービスの状況と傾向に加え、直接要因と間接要因の両方から評価を試みた。特に間接要因については、わが国において重要と考えられる要因を関連学会へのアンケート等を用いて分析するとともに、生物多様性国家戦略2012-2020で実施された施策とのギャップを分析することで、社会変革に向けた政策面での課題について整理した。
本集会では、JBO3の結果をIPBESなど海外における関連動向とともに紹介し、その成果を次期生物多様性国家戦略をはじめとする政策にどう活用するか、また、今後生態学に期待される研究課題等について議論を行う。


日本生態学会