| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


自由集会 W15-3  (Workshop)

生物多様性に影響を与える間接要因と有効な介入点、関連する施策の実施状況
Indirect factors affecting biodiversity loss, effective leverage points and implementation of related policies.

*幸福智(いであ株式会社)
*Satoshi KOFUKU(IDEA Consultants, inc.)

今後、生物多様性の損失を止め、回復へと転じさせるためには、間接要因への対処を通じた社会変革が不可欠である。

わが国の生物多様性の危機は、その背後にある社会経済状況(間接要因)の変化によって引き起こされる。わが国の物質的な豊かさはこの50年間で大きく向上した一方で、社会経済的要因は生物多様性に対して間接的に負の影響を与える形で推移してきた。今後は、施策の効果を最大化する「介入点」に注力した取組により間接要因を改善することを通じて、変革を促すことが重要である。

わが国の社会経済状況(間接要因)について、わが国では過去50年で社会経済状況が大きく変化し、経済的に発展した一方で直接要因を介して生物多様性に大きな影響を与えた。直接要因・間接要因・介入点の関係性は複雑であり、唯一の解決策となるような介入点は存在しない。社会変革を引き起こすためには、間接要因や介入点の特徴も踏まえつつ、複数の介入点に働きかける施策を組み合わせて実施することが重要である。

社会変革に資する施策について、これまでの生物多様性に関する取組は、社会変革に向けた適切な介入点(レバレッジ・ポイント)に十分焦点が当てられてこなかった。自然共生社会を実現するためには、間接要因に対して特に有効と考えられる介入点を通じて適切な施策を実施することにより、社会変革を促進していくことが不可欠である。


日本生態学会