| 要旨トップ | ESJ68 自由集会 一覧 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


自由集会 W20  3月21日 17:00-18:30 Room F

ため池の生物多様性の危機 2020― 全国で進むため池改廃問題
Biodiversity crisis of irrigation pond 2020: national wide issue of irrigation pond destruction in Japan.

西原昇吾(中央大学), 白川勝信(芸北 高原の自然館), 西廣淳(国立環境研究所)
Shougo NISHIHARA(Chuo University), KATSUNOBU SHIRAKAWA(GMNH), JUN NISHIHIRO(NIES)

農業用ため池は、水の安定供給や文化・景観の維持という生態系サービスの点に加え、生物多様性の保全上も重要である。大規模農業用水の普及や農家の高齢化に伴う管理放棄、侵略的外来種の影響により機能や多様性の低下した池が増加したが、絶滅危惧種の生息地も残存する。一昨年頃から、池の「廃止」の動きが急速化し、広島県で約500、石川県で154の池が廃止予定となった。これは昨年の「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」の施行と関連し、ため池が農業用水と防災の観点のみで捉えられ、生物多様性の視点は含まれない。生物多様性保全など多面的機能の評価なしの池の不可逆な改修や廃止は社会的な損失を招く。生態学研究者が研究成果を各主体と共有し、賢明な意思決定を進めるために、本集会ではため池の現状を共有し、温暖化時代の渇水対策や新たな管理など、今後への建設的な議論を行う。


日本生態学会