| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(口頭発表) D03-01  (Oral presentation)

65年間におけるカナダ北方林の植生変化:高緯度地域でより速い機能組成シフト 【B】
Rapid functional shifts across high latitude forests over the last 65 years 【B】

*久野真純(レイクヘッド大学, 東京大学), 梁政寛(ライプニッツ農景研), Xinli CHEN(Lakehead University), Han Y. H. CHEN(Lakehead University)
*Masumi HISANO(Lakehead University, The University of Tokyo), Masahiro RYO(Leibniz Cent Agr Landsc Res), Xinli CHEN(Lakehead University), Han Y. H. CHEN(Lakehead University)

気候変動は森林動態に大きな影響を及ぼしており、とくに高緯度地域で樹木の枯死が増加している。樹木の機能形質の組成は生物多様性や生態系機能にとって重要であるが、気候変動の著しい高緯度地域において森林の機能的組成がどのように変化しているのかについてはあまりわかっていない。本研究では、カナダの森林モニタリングデータ(>17,000プロット)を用いて65年間における機能的組成のシフトについて調べた。その結果、森林の機能的組成は成長速度の速い落葉広葉樹的な形質および乾燥耐性の高い形質の方向にシフトしていることがわかった。落葉広葉樹的な形質へのシフト速度は気候の地理的勾配(地域の年平均気温・湿潤度)にかかわらず一定だった。しかし、低緯度地域の冷温帯林と比べて高緯度地域の北方林でより速い乾燥耐性への形質シフトが見られた。これらの結果は、温帯林と比べると北方林組成は気候変動に対してより脆弱であることを示唆する。


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