| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(口頭発表) F04-02  (Oral presentation)

能登地方におけるノスリの繁殖生態-CCDカメラによる巣内観察-
Breeding ecology of common buzzards Buteo buteo in noto region, Ishikawa prefecture-Observation in the nest with a CCD camera-

*加茂川千枝((株)国土開発センター), 前正人((株)国土開発センター), 田屋祐樹((株)国土開発センター), 山川将径((株)国土開発センター), 中村眞帆((株)国土開発センター), 上野裕介(石川県立大学)
*Chie KAMOGAWA(Kokudokaihatsucenter Co., Ltd.), Masato MAE(Kokudokaihatsucenter Co., Ltd.), Yuki TAYA(Kokudokaihatsucenter Co., Ltd.), Masamichi YAMAKAWA(Kokudokaihatsucenter Co., Ltd.), Maho NAKAMURA(Kokudokaihatsucenter Co., Ltd.), Yusuke UENO(Ishikawa Prefectural Univ.)

 ノスリは、日本では主に北海道から本州中部以北で繁殖する中型猛禽類である。石川県では2000年に能登地方で繁殖が確認されて以来、能登地方を中心に繁殖がみられるようになった。しかし県内での繁殖事例は少なく、繁殖生態は十分に調査されていない。そこで本研究では、能登地方に営巣するノスリの繁殖生態の解明を目的に、CCDカメラによる繁殖期間中の巣内観察(ビデオによる常時録画)を行うこととした。調査地は丘陵地で、植生はモミやスギ、コナラなどからなる針広混交林、周辺には水田や農耕地、果樹園が広がる里山環境であり、対象繁殖ペアは複数年にわたって当地で継続的に営巣していた。そこで前年の古巣の位置を参考に、ノスリが飛来する前の2020年2月に、営巣木に隣接する樹木にCCDカメラを設置した。その後、8月までの約5か月間撮影を続け、巣内の映像を基に、造巣、抱卵、孵化、抱雛、餌運び、巣立ち等の繁殖行動、雄成鳥と雌成鳥の巣の占有時間などを記録した。その結果、ノスリは2月末に初めて巣に飛来し、その後、巣材の搬入や巣の補修を行うようになった。産卵は4月に入ってから行われ、抱卵期間は34日間であった。孵化したヒナは、6月に巣立った。また親鳥がヒナに運ぶ餌の種類は、繁殖ステージの進行により変化が見られ、期間中全体ではネズミなどの小型哺乳類が多く、両生類や爬虫類、小型鳥類なども見られた。


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