| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(口頭発表) I02-03  (Oral presentation)

集団遺伝学的解析から見た日本における外来種フィリマングースの分散史
The dispersal history of the invasive mongoose in Japan, based on population genetic analyses

*佐藤拓真(沖縄大学), 亘悠哉(森林総合研究所), 城ヶ原貴通(沖縄大学)
*Takuma SATO(Okinawa Univ.), Yuya WATARI(FFPRI), Takamichi JOGAHARA(Okinawa Univ.)

外来種の移入の歴史やその遺伝的多様性を把握することは、外来種管理の基礎資料となる。フィリマングース(以下、マングース)は、1910年に沖縄島に持ち込まれ、その後1979年ごろに奄美大島に導入された。鹿児島市喜入町周辺においても1979年からマングースの生息記録があり2009年に定着が確認されているが、その起源や遺伝的多様性は不明である。ミトコンドリアDNA(mtDNA)のチトクロームb遺伝子(Cytb)の部分配列を用いた先行研究により、沖縄、奄美、喜入の3集団全てが同種(Urva auropunctata)であることが分かっている。本研究では、マングースのmtDNA全長配列を決定することで日本に生息するマングースの系統関係を改めて整理するとともに、Cytbとマイクロサテライト17座を用いた全74個体の分析によって、日本におけるマングースの分散史解明を試みた。mtDNA全長配列を用いた系統解析の結果、日本に生息するマングースはUrva auropunctataに分類されることが再確認された。Cytbのハプロタイプは全てで2つ検出され、内1つが沖縄、奄美、喜入に、もう1つは奄美にのみ分布していた。両タイプの差は1塩基の置換によるものであり、どちらも日本のみで発見されたハプロタイプであった。マイクロサテライトマーカーを用いた解析の結果、PCoAでは沖縄と奄美集団が分けられ、喜入集団はその中間に位置していた。一方DAPCでは、3集団全てがはっきりと分けられた。STRUCTURE解析の結果、K=2とK=3では、沖縄と奄美集団が分けられ、喜入集団は沖縄集団に比較的近い遺伝構造であることが示された。集団間の違いを示すFstの値からも、沖縄-喜入間が奄美-喜入間より遺伝的に近い傾向が見られた。以上の結果から、日本のマングース集団は、沖縄を母集団とし、奄美と喜入それぞれに移入されたことが示唆された。


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