| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(口頭発表) I02-08  (Oral presentation)

特定外来生物チャネルキャットフィッシュの国内における分布の現状
Current distribution and status of non-native channel catfish in Japan

*吉田誠(国立環境研究所)
*Makoto A. YOSHIDA(NIES)

特定外来生物チャネルキャットフィッシュIctalurus punctatusは北米大陸を原産とする淡水ナマズ類で、1980年代に利根川水系で自然水域に逸出・定着し、2000年代以降は東北〜近畿地方の複数の水系で生息が確認されている。本種は2018年には緊急対策外来種に指定され、自然水域における防除が喫緊の課題だが、本種の分布に関する近年の知見は、単一の行政区画(都府県・市)あるいは水系内の一部の水域に着目した事例が大半を占め、水系レベル・全国レベルでの分布の全容は不明である。
 本研究では、国内における本種の分布の現状把握を目的として、以下4つの手法を併用して情報収集を行った:(1)文献調査、(2)公開データベースの網羅的な探索、(3)モバイル端末を利用した市民参加型調査、および(4)ウェブ上での情報検索。データベース検索は、国土交通省が実施する「河川水辺の国勢調査」のデータを集積した「河川環境データベース(DB)」、環境省が運用する生物情報収集・提供システム「いきものログ」、全国の自然史系博物館等の所蔵標本検索システム「サイエンスミュージアムネット(S-Net)」の3つを対象とした。市民参加型調査にはバイオーム社の運用する「Biome」を活用した。ウェブ上での情報検索は、Google検索エンジンおよび複数のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)において、地名ないし水域名と本種の呼称を組み合わせたキーワード検索により探索的に行った。
 文献調査の結果、本種はこれまでに15水系18都府県で採捕され、複数年にわたる採捕記録のある6水系(阿武隈川、利根川、栗山川、荒川、矢作川、淀川)では現在も一定数が生息すると考えられた。河川環境DB(327件)、いきものログ(8件)、S-Net(131件)および市民参加型調査(146件)で確認された採捕記録はいずれも既知の水系・都府県からのものであったが、ウェブ・SNS検索を通じて新たに2水系で本種の採捕記録が確認され、国内における本種の分布拡大の一端が明らかとなった。


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