| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-014  (Poster presentation)

高知県産サワガニにおける寄生虫の寄生状況
Epidemiological studies on lung fluke from the freshwater crab, Geothelphusa dehaani, in Kochi Prefecture

*尾原あまね, 加藤元海(高知大学)
*Amane OBARA, Motomi GENKAI-KATO(Kochi Univ.)

宮崎肺吸虫は扁形動物のなかまである二生吸虫であり、第1中間宿主である巻貝から第2中間宿主であるサワガニ、そして終宿主である哺乳類へと宿主を変えながら生活する寄生生物である。宮崎肺吸虫は終宿主である哺乳類に寄生することで肺吸虫症という人獣共通感染症を引き起こす。サワガニの体内で肺吸虫は幼虫としての発育段階の一つであるメタセルカリアとして存在する。本研究では、高知県東部の室戸市から県西部の土佐清水市にかけてサワガニを採集し、サワガニの個体の特徴(体色、甲幅、および性別)および生息環境(水域もしくは陸域、および河川規模)と肺吸虫メタセルカリアの寄生率との関係について調べた。寄生率は調査地点によって大きく異なったが、県中部と県西部では寄生率が比較的高い調査地点が多かった。寄生率は、陸域よりも水域の方が有意に高かったが、サワガニ個体の特徴や河川規模との間に有意な関係はみられなかった。肺吸虫症の予防と対策にはサワガニに加え、第1中間宿主と終宿主の県内における分布と寄生率を今後の研究で明らかにする必要がある。


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