| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨 ESJ69 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-074 (Poster presentation)
カエル類では一般的に,オスは繁殖のために,鳴き声を用いて同種のメスを誘引する.先行研究により,開けた環境で鳴くオスは鳴き声の減退を受けない,bimodal (acoustic + visual) signalによる魅力の増加といった利点から,メスの誘引において有利であることが示唆されてきた.しかし,開けた場所で鳴くオスは体の露出から,捕食者に検出されやすい.従って,カエルのオスが,生存率と繁殖成功の両方を増加させるには,環境条件に応じて,鳴き場所(calling site)を選択する必要があると考えられる.本研究では,昼行性の捕食者(ヘビ類,サギ類等)を多くもつトウキョウダルマガエルPelophylax porosus porosusのオスによる,calling siteの選択について調べた.その結果,オスは日中のcalling siteとして草陰の水面を,夜間のcalling siteとして開けた水面をそれぞれ選択する傾向が観察された.本研究の結果から,本種のオスは日中と夜間でさらされる捕食リスクの大きさが異なるため,それぞれで異なるcalling siteを選択することが示唆された.それぞれの環境条件に適したcalling siteの選択は本種のオスの適応度上昇に寄与すると考えられる.