| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨 ESJ69 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-128 (Poster presentation)
脈翅目(アミメカゲロウ目)Neuropteraの幼虫は一般的に陸生であるが,ミズカゲロウ科Sisyridae,シロカゲロウ科Nevrorthidae,ヒロバカゲロウ科Osmylidaeの3科は幼虫が水生または半水生(水際に生息)である.これらを総称して水生脈翅類と呼ぶ.シロカゲロウ科は世界から4属19種,日本では1属5種が知られている.本科は水生脈翅類の中でも特に解明度が低く,分類学的研究はヨーロッパ産や中国産の種において進んでいるが,日本産5種については昔になされた少数の成虫に基づく新種としての記載以降,研究が停滞したままである.特に幼虫の記載についてはどの種においてもなされておらず,生活史に関する報告もない.シロカゲロウ科における分類学的知見及び生活史に関する知見の蓄積が急務である.本講演では日本産シロカゲロウ科を中心として,(1)日本産水生脈翅類についてミトコンドリア16S rRNA及びCOI領域に基づいた分子系統樹の作成を行い,(2)各科における卵塊の形態,幼虫の形態,蛹化過程,成虫雌雄の形態比較の結果について発表を行う.