| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-137  (Poster presentation)

都市近郊域におけるアオゲラPicus awokeraの生息適地モデル
A habitat model of Japanese Green Woodpecker Picus awokera in suburban area

*二川原湧(慶應義塾大学), 夏川遼生(横浜国立大学), 湯浅拓輝(慶應義塾大学), 一ノ瀬友博(慶應義塾大学)
*Yu NIGAWARA(Keio Univ.), Haruki NATSUKAWA(Yokohama National Univ.), Hiroki YUASA(Keio Univ.), Tomohiro ICHINOSE(Keio Univ.)

 キツツキ類は自身で樹洞を作ることができる生態系エンジニアである。そのため、キツツキ類の存在は、樹林内に生息する樹洞の二次利用種の生存や繁殖に重要である。アオゲラ(Picus awokera)は日本固有の中型キツツキ類であり、北海道や南西諸島などを除く日本のほぼ全域に分布する一般的な種である。本種は繁殖や採餌を樹林に依存することから良好な樹林環境の指標になるとされるが、近年は都市近郊域の樹林への進出が確認されている。しかし、本種の基礎生態についての知見は乏しく、特に都市近郊域の土地被覆と本種の生息地の使用頻度の関係性については報告が少ない。
 そこで、本研究では越冬期と繁殖期それぞれにおいて都市近郊域におけるアオゲラの樹林の使用頻度と土地被覆の関係を解明することを目的とした。まず、神奈川県東部の都市近郊域において越冬期と繁殖期にアオゲラの生息地となる樹林の使用頻度を調査した。そして、得られた頻度と樹林面積の関係性をポアソン回帰分析で解析した。その結果、アオゲラの樹林の使用頻度と樹林面積の関係は季節によって異なっており、越冬期では樹林面積が重要であった一方、繁殖期では樹林面積が使用頻度に大きな影響を与えていなかった。発表では、樹林面積に加え、他の土地被覆の要因を加味して議論したい。


日本生態学会