| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-186  (Poster presentation)

石灰岩地質に成立する山地二次林の植生組成と土壌栄養塩利用の特徴
Characteristics of vegetation composition and soil nutrient utilization in montane secondary forest on limestone soils

*芝里万杜, 澤田佳美, 青柳亮太, 北山兼弘(京大・農・森林生態)
*Rimato SHIBA, Yoshimi SAWADA, Ryota AOYAGI, Kanehiro KITAYAMA(Kyoto Univ.)

石灰岩は炭酸カルシウムを主成分とする岩石であり、その上に成立する土壌は、他のケイ酸質岩石上の土壌に比べpH・カルシウムイオン濃度が高い。これらの特徴は、土壌中のリンや鉄などの植物の必須元素の可給性にも影響を及し、特殊な石灰岩植生の成因となっていると考えられる。しかし、石灰岩土壌の詳細な土壌分析は行われていない。そこで本研究では、土壌栄養塩と植生に着目し、石灰岩上の生態系の特殊性を明らかにすることを目的とした。
本研究は、滋賀県北東部の伊吹山(標高1,377m)及び霊仙山(標高1,083m)の二次林で行った。伊吹山と霊仙山は、石灰岩と非石灰岩が隣接して分布するため地質間での比較が可能である。石灰岩地質(n=16)と非石灰岩地質(n=14)で、Braun-Blanquet全推定法にて植生調査を行った。また、石灰岩地質(n=4)と非石灰岩地質(n=4)で表層土壌( 0~30cm)を採取し、分析した。
土壌分析の結果から、石灰岩土壌はpHと交換態カルシウム濃度が高いことが分かった。また、石灰岩土壌では (1)交換態鉄濃度が低く、(2) Hedley P fractionationで得られる可給性リンや難分解性リンの濃度が高くなった。これらはpH・交換態カルシウムの影響と考えられる。低木層以上の樹木種に対して行った群集解析(TWINSPAN)では、2つに分割された植生タイプが地質に対応していた(石灰岩地質に偏在するタイプと非石灰岩地質に偏在するタイプ)。石灰岩地質上では、特徴的な識別種としてマユミやゴマキが選定され、群集組成にリョウブ・シロモジ・クリを欠くことが分かった。このことから石灰岩が群集組成に大きな影響を与えていることが示された。
石灰岩上では特殊な土壌栄養塩環境や樹木群集が成立しており、石灰岩の化学組成の特殊性によって他の地質とは異なる生態系・物質循環系が成立していると考えられる。


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