| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-189  (Poster presentation)

大規模洪水撹乱による河川植物群落の形成プロセス
Formation process of riverine plant communities by large scale flood disturbance

*五十嵐公太, 大澤剛士(東京都立大学)
*Kota IGARASHI, Takeshi OSAWA(Tokyo Metropolitan University)

撹乱は生態系の構造を変化させる現象であり、生物群集の多様性に大きな影響を及ぼす。撹乱は個々の現象として捉えられ長年研究されてきたが、近年では複数の撹乱の相互作用が生物群集に予期せぬ影響を与えることが明らかになり注目されるようになってきている。河川の生物群集は洪水撹乱の影響を強く受けて形成され、中でも河川植物群集は撹乱の作用を直接的に反映する。そして河川では周期的に発生する季節性の増水の他に、これらとは一線を画す稀な大規模洪水も発生し、このような大規模撹乱はその後の撹乱との相互作用によって河川植物の群集形成に影響すると考えられる。
 そこで本研究では、2019年10月に発生した令和元年東日本台風に着目し、この台風の影響をうけた東京都あきる野市秋川流域の植物群集の調査を行うことで、大規模洪水による撹乱相互作用の影響を検討した。台風前後での土地被覆を比較した結果、令和元年東日本台風による洪水撹乱は、季節性の周期的な撹乱とは異なる変化をもたらす大規模撹乱だと断定できた。そして、形成された植物群集は撹乱から1年後には大規模洪水の撹乱強度の違いを強く反映していたが、撹乱から2年後には周期的な撹乱との相互作用を受けたものに変化していた。これら植物群集は、大規模洪水の撹乱強度の強弱によって異なるプロセスを経て形成されると考えられ、本研究の結果から大規模撹乱に起因する撹乱相互作用によって群集の多様性が高められる可能性が示唆された。


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